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はいゆうりんり

俳優倫理

岸田 国士

「演劇映画研究所での講義」1940(昭和15)年4月23日開始

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 52,412 字 · 104 页

青空文庫

それは、結局人間が芝居といえるようなものを始めたのは、一つの人間の集団生活、――人間が集って生活をしているなかで、その集団生活には常につきものであるところのお祭、そのお祭の行事として行われたものだということが推定される。つまり芝居とお祭というものが切っても切れない関係にあるということです。しかも、このお祭というのはいうまでもなく、宗教的なものです。即ち、人間が神を祭るということは、その集団生活の幸福を祈る、安寧無事を感謝する、或はその集団生活のなかに恐るべき不幸が来ることを惧れて、そういう不幸が来ないように神に祈る、そういう極く原始的な人間の感情の現われなのです。

そういうお祭に行われた行事のなかに、この芝居というものの芽がふいている。それはどういう風にして芝居という形をとり出したかというと、神を祭る一つの集団、その集団のなかで、ある特定の人物が、――神と人間、つまり、民衆とその民衆が祭っている神との仲介者になる、そういう人物が、常に必要である。神と神を祭る人達の媒介をする人物です。これがお祭の一番根本的な形式です。神とその神を祭る人間の間に、その両者を結びつける一人の人間が選ばれる。