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はいくとはどんなものか
俳句とはどんなものか
高浜 虚子
「ホトトギス」1927(大正2)年5~10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 51,046 字 · 99 页
沼でとれた小海老を乾かしているところがその中に、同じく海老のごとく長い脚をしてぷいぷい飛んでいるものがあるのは何かと見ると、それはいとどであるというのであります。
鉢たゝき来ぬ夜となれば朧なり 去来
鉢たたきというのは京都の空也念仏の僧が瓢箪をたたいて冬の間夜になると洛内、洛外を歩きまわり米銭を集めるものでその鉢たたきが来なくなるといつの間にか朧になって春めいているというのであります。去来は京都に住んでいたのであるから冬中その鉢たたきの音を淋しく聞いていた、それがこの句を生んだ主な理由でありますが、春の夜になって心のときめくを覚えるにつれてもこの冬中耳について離れなかった淋しい鉢たたきを思い出すところにこの作者の地味な心持が伺われるのであります。
こういう例は際限もなく挙げることができます。またたくさんの例を挙げるうちには多少例外として宗鑑以下の滑稽趣味をそのまま伝承しているものをも挙げることができるのであります。しかしそれらはこの略史には無用のことであります。ただ我等は、
芭蕉を中心とする元禄の新運動は、俳諧を滑稽駄洒落の域より救い上げて、真面目な着実なそうして閑寂趣味のものに導いたということを記憶すればいいのであります。