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はいくはかくかいしかくあじわう

俳句はかく解しかく味う

高浜 虚子

「俳句は斯く解し斯く味ふ」新潮社、1918(大正7)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 73,016 字 · 144 页

青空文庫

春の初めの或光景を捕えたもので、実際よくある光景である。口紅の句にしてもこの句にしても非常にモデレートであって、少しも奇を弄するようなところ不自然なようなところのないのが、この子規の特色である。尤もこれらは明治もまだ日清戦争などのあるより前の時代の句であるが、この自然を貴ぶところ、また客観的の描写を重んずるところ等が、主な傾向となって遂に明治の一特色を為すに至った写生句というものが現われて来た。尤も芭蕉以来の句にも已に事実そのままを写すという傾向のあったことは、前にも陳べた通りであるが、この明治に入っての写生句というのは、更にその度を強めて、精細にものを見てそれをなるべく客観的に写すようになって来たのである。自然些事をも厭わずに句にする傾きも多くなって来たのである。主としてそういう句をこれからあげて見よう。

草庵

雪の絵を春も掛けたる埃かな    子規

これは子規の庵を訪うたことのあるものは、誰も一度は必ず目に入れたに相違ない。木立に雪の降っておる小さい水絵が間にかかって久しい前から位置もかえずに掛っていた。――今でも旧の如く掛っている――それをそのまま句にしたので、雪の絵を春もそのままに掛けておる、そうして久しく掛けたままになっているから埃が積っておるというのである。