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はいくはかくかいしかくあじわう

俳句はかく解しかく味う

高浜 虚子

「俳句は斯く解し斯く味ふ」新潮社、1918(大正7)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 73,016 字 · 144 页

青空文庫

先ず蕪村などは比較的上出来の方と言ってよかろう。

笠島やいづこ五月のぬかり道    芭蕉

この句は『奥の細道』中に在る句で、次のような文章がある。「奥州名取の郡に入りて中将実方の塚はいづくにやと尋ね侍れば、道より一里半ばかり左の方笠島といふ処にありと教ふ。降り続きたる五月雨いとわりなく打過ぐるに。」即ちこの文章にある通り、旅行のついでに芭蕉はこのあわれなる歌人のあとを弔おうと思ったけれども、何分五月雨が降りしきって不本意ながらも行けなかったのである。さて句意は、笠島は何処ら辺であろう、その方向を見渡して見ると唯五月雨のぬかり道が見えるばかりであるというのである。実方中将の句にはなお次の一句がある。

実方中将の墓にて

君が墓筍のびて二三間    子規

この句は作者が「はて知らずの記」と題する紀行文をものした奥羽行脚の時の句である。同じく夏ではあったけれども、芭蕉と反対に親しく笠島に実方中将の墓を弔うて触目した光景をそのまま言ったのである。実方中将に向っていうような心持で、君の墓には二、三間にも延びた筍が突立っておるというのである。「はて知らずの記」にはこの句は載っていない。