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「はいかいたいよう」かいせつ

「俳諧大要」解説

柴田 宵曲

「俳諧大要」岩波文庫、岩波書店、1955(昭和30)年5月5日第1刷

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,995 字 · 7 页

青空文庫

但しこの前半は松山滞留中に稿を起したので、座右に参考書の類を欠き、記憶によって筆を執ったため、時に多少不備な点のあることは居士自身も認めている。修学第一期の終り(本書四三ページ)に「静かさは栗の葉沈む清水かな」の句を尚白の作としているが如きも、記憶によって生じた誤りの一である。これは「随問随答」の中で人に答えている通り、『猿蓑』にある「柳陰」の作でなければならぬ。

「俳人蕪村」もまた『日本』紙上に連載された。「明治二十九年草稿」と記されているけれども、活字になったのは三十年四月以降であった。しかもこの稿を掲げはじめてより間もなく、居士の病状に異変があり、しばしば筆を抛たざるを得なかったので、全部を掲了するのに十一月までかかっている。前後十七回。この内容に訂正を加え、三十二年十二月「俳諧叢書」第二編として刊行を見たのが現在の「俳人蕪村」である。俳諧史上における蕪村の位置はこの書によって定まった。明治の俳句に蕪村の影響が多いことは、居士自身「蕪村調成功の時期」というような言葉を用いているのでも明らかであるが、それはまた居士以前の俳句と立場を異にする所以でもあった。