轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ロンドンとう
倫敦塔
作者留学伦敦时只去过一次塔,之后再也不去。那段日子他像被扔到日本桥的兔子,靠地图和问路才能找到地方,每次都像冒险。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,166 字 · 33 页
他の一人は腕組をしたまま立って砥の転るのを見ている。髯の中から顔が出ていてその半面をカンテラが照らす。照らされた部分が泥だらけの人参のような色に見える。「こう毎日のように舟から送って来ては、首斬り役も繁昌だのう」と髯がいう。「そうさ、斧を磨ぐだけでも骨が折れるわ」と歌の主が答える。これは背の低い眼の凹んだ煤色の男である。「昨日は美しいのをやったなあ」と髯が惜しそうにいう。「いや顔は美しいが頸の骨は馬鹿に堅い女だった。御蔭でこの通り刃が一分ばかりかけた」とやけに轆轤を転ばす、シュシュシュと鳴る間から火花がピチピチと出る。磨ぎ手は声を張り揚げて歌い出す。
切れぬはずだよ女の頸は恋の恨みで刃が折れる。
シュシュシュと鳴る音のほかには聴えるものもない。カンテラの光りが風に煽られて磨ぎ手の右の頬を射る。煤の上に朱を流したようだ。「あすは誰の番かな」とややありて髯が質問する。「あすは例の婆様の番さ」と平気に答える。
生える白髪を浮気が染める、骨を斬られりゃ血が染める。
と高調子に歌う。シュシュシュと轆轤が回わる、ピチピチと火花が出る。「アハハハもう善かろう」と斧を振り翳して灯影に刃を見る。