轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ロンドンとう

倫敦塔

夏目 漱石

作者留学伦敦时只去过一次塔,之后再也不去。那段日子他像被扔到日本桥的兔子,靠地图和问路才能找到地方,每次都像冒险。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,166 字 · 33 页

青空文庫

そうしてその中に冷然と二十世紀を軽蔑するように立っているのが倫敦塔である。汽車も走れ、電車も走れ、いやしくも歴史の有らん限りは我のみはかくてあるべしと云わぬばかりに立っている。その偉大なるには今さらのように驚かれた。この建築を俗に塔と称えているが塔と云うは単に名前のみで実は幾多の櫓から成り立つ大きな地城である。並び聳ゆる櫓には丸きもの角張りたるものいろいろの形状はあるが、いずれも陰気な灰色をして前世紀の紀念を永劫に伝えんと誓えるごとく見える。九段の遊就館を石で造って二三十並べてそうしてそれを虫眼鏡で覗いたらあるいはこの「塔」に似たものは出来上りはしまいかと考えた。余はまだ眺めている。セピヤ色の水分をもって飽和したる空気の中にぼんやり立って眺めている。二十世紀の倫敦がわが心の裏から次第に消え去ると同時に眼前の塔影が幻のごとき過去の歴史を吾が脳裏に描き出して来る。朝起きて啜る渋茶に立つ煙りの寝足らぬ夢の尾を曳くように感ぜらるる。しばらくすると向う岸から長い手を出して余を引張るかと怪しまれて来た。今まで佇立して身動きもしなかった余は急に川を渡って塔に行きたくなった。