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ちゅうとう

偸盗

芥川 竜之介

独眼武士在酷暑街头拦住一个怪婆婆,追问昔日恋人“沙金”的下落。一次偷盗让他们的命运纠缠不休,真相却比天气更灼人。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 48,934 字 · 97 页

青空文庫

「おばば。」

「……」

老婆は、あわただしくふり返った。見ると、年は六十ばかりであろう。垢じみた檜皮色の帷子に、黄ばんだ髪の毛をたらして、尻の切れた藁草履をひきずりながら、長い蛙股の杖をついた、目の丸い、口の大きな、どこか蟇の顔を思わせる、卑しげな女である。

「おや、太郎さんか。」

日の光にむせるような声で、こう言うと、老婆は、杖をひきずりながら、二足三足あとへ帰って、まず口を切る前に、上くちびるをべろりとなめて見せた。

「何か用でもおありか。」

「いや、別に用じゃない。」

片目は、うすいあばたのある顔に、しいて作ったらしい微笑をうかべながら、どこか無理のある声で、快活にこう言った。

「ただ、沙金がこのごろは、どこにいるかと思ってな。」

「用のあるは、いつも娘ばかりさね。鳶が鷹を生んだおかげには。」

猪熊のばばは、いやみらしく、くちびるをそらせながら、にやついた。

「用と言うほどの用じゃないが、今夜の手はずも、まだ聞かないからな。」

「なに、手はずに変わりがあるものかね。集まるのは羅生門、刻限は亥の上刻――みんな昔から、きまっているとおりさ。」

老婆は、こう言って、わるがしこそうに、じろじろ、左右をみまわしたが、人通りのないのに安心したのかまた、厚いくちびるをちょいとなめて、