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いつわりのないぶんかを
偽りのない文化を
宮本 百合子
「女性改造」1948(昭和23)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,161 字 · 18 页
淫売によって生きなければならない若い女の暮しぶりが、まるで民主日本のシムボルであるかのように描かれ、うつされ、ゴシップされている。
性の解放がジャーナリズムの上に誇張されているのに、現実の恋愛もたのしい結婚生活の可能もむずかしいために、街の女の生態は、かたぎの若い男や女の性感情にさえ動揺的な刺戟となっている。かたぎの娘と街の娘とをかぎる一本の線は、経済問題と性的好奇心とのために絶えず心理的に不安にゆられているのだ。しかし、一方には夜の娘を、あらゆる商業的な文化の上でもてあそび、間接な淫蕩に浸りながら、その半面で電車に乗るなとけがらわしがる感情がある。ラク町の姐御誰々を正道にたちかえらせる勧善懲悪美談の趣味がある。だがその同じ世間は、すべての女性を売淫からまもる女子の職場確保のためにたたかう組合の活動に冷淡だし、賃上げに反感をもつし、いつまでたっても元ラク町の姐御誰々と、本人を絶望させるほど封建的な物見だかさを示してもいる。
わたしたちの文化の一面には、すくなくともこのような矛盾がある。資本主義の経済破局は売笑婦を殖やすという国際的な事実を土台として、その売笑婦の社会的な扱われかた、売笑婦自身の感情に、日本の封建の尾がつよくひかれているのである。