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いつわりのないぶんかを
偽りのない文化を
宮本 百合子
「女性改造」1948(昭和23)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,161 字 · 18 页
それだのに、きょうのわたしたちの現実にからみついて棲息している旧いものの力はどうだろう。それがいっそういとわしいことには、民主的だとか新しい日本の建設だとかいういいかたのうちに、いつも六分まで旧いものをもりこんで、出されて来ることである。日本の社会の雰囲気には、破滅のうちに生きていながらその破滅を意識の正面にうけとってゆくリアリスティックな凜冽さが足りない。そして、それは昨今ますますぼやかす方向にみちびかれている。破滅的現象は街にも家庭にもあふれ出ているのに、若い眼も心も崩壊の膿汁にふれていながら、事実は事実として見て、生活でぐっとそれによごされず突破してゆくような生活意欲はつちかわれていない。若さは無意識のうちにこんにちの姑息ないいくるめや偽善をもの足りなく思っていて、「凱旋門」に描かれているあからさまな破壊とそれをしのぐ人間精神にひかれたのではなかったろうか。
三
遊廓は、封建的な婦女の市場だった。徳川時代、武士と町人百姓の身分制度はきびしくて、町人からの借金で生計を保つ武士にも、斬りすて御免の権力があった。高利貸資本を蓄積して徳川中葉から経済力を充実させて来た大阪や江戸の大町人が、経済の能力にしたがって人間らしい自分の欲望を発揮するためにはさまざまの苦肉策がとられた。