轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

びぜんてんいちぼう

備前天一坊

江見 水蔭

「現代大衆文学全集」平凡社、1928(昭和3)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,511 字 · 25 页

青空文庫

「へえ――」

「まだ他に一品…………さァ金三郎様、ちょっと拝見の儀を……」

若侍は鷹揚に二ツ割の青竹の筒を出した。それを開くと中から錦の袋が出た。その袋の中からは普通の脇差が一口。

「さァ、拝見致せ」

錦の袋では脅かされたが、中から出たのは蝋色朱磯草研出しの鞘。山坂吉兵衛の小透し鍔。鮫皮に萌黄糸の大菱巻の、そこまでは平凡だが、中身を見るまでもない。目貫が銀の輪蝶。擬いも無い池田家の定紋。

これを備前太守池田新太郎少将光政の差料としてははなはだ粗末な様ではあるが、奢侈嫌い、諸事御倹約の殿の事であるから、却って金銀を鏤めたのから見ると本物という事が点頭れるけれども、これは時として臣下に拝領を許される例もあるので、強ち殿様の御差料とのみは断じられぬが、こうして大事そうに持っている上からは、何かこれは因縁があるに相違無いと考えて、中身を抜いて見るどころではなく押頂いてそれを返した。

「恐れ多い儀で御座りまする」

「遠慮とあればそのままで好いが、中身は当国長船の住人初代長光の作じゃ」

「へえ――」

「これを御所蔵のこの御方は、仮に小笠原の苗字を名乗らせ給えど、実は新太郎少将光政公の御胤、金三郎様と申上げるのじゃ。