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きずだらけのあし
傷だらけの足
宮本 百合子
ふたたび純潔について
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,697 字 · 20 页
自然のすぐれたつくりものである人間が、男も女も、微妙につくられた肉体と精神の作用を傷けることがより少い生存の条件というものを、ローレンスは求めた。彼はそれらを、自分の感覚から出発し、感覚にかえって結論する方法によって求めた。ローレンスは次のように考えた。ほんとうに男と女とが愛しあい、互のうちに、めいめいの存在のよりどころと感じるなかであれば、互の肉体のどの部分もみな尊敬されるべきである。愛を表現する精神の働きばかりでなく、それと全く等しく愛を表現し、生命の調和をつかさどる肉体の機能も、そのまままざりものなしに卑屈なはずかしがりなどない見かたと、扱いかたがされるべきである、と。
この主張によって、ローレンスは、こんにちのわたしたちからみると、いくらか少年ぽいむきさで、性に関して医学的な言葉をつかわなかった過去の文学上の習慣、とくにイギリスの習慣に反抗を示した。ローレンスの反抗は、フランスの自然主義の初期、その先駆者ゾラなどが、近代科学の成果、その発見を文学にうけ入れるべきだとして、科学書からの抜萃をそのまま小説へはめこんだ、その試みの精神と通じるところがある。