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はたらくために

働くために

宮本 百合子

「婦人の生活」第二冊、生活社、1941(昭和16)年4月発行

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,590 字 · 8 页

青空文庫

衣類の本当の合理化は、その人々の働きの種類によって、休安の目的によって形も地質も考えられるのが当然である。

人の働きもいろいろで、私の着物は他のものを書く人と同様に独特の痛みかたをする。日本服だから袖口が痛むのはおきまりだけれど、絶えず机にすれるものだから袖口の外側からその下にかけてのところだの、羽織の襟の机に当るところだのが知らないうちに忽ち切れてしまう。それから、いしきが抜ける。これは私の重さもあるけれど、細いひとでも、一日の大部分腰をかけて、気付かない体の動きをつづけているひとは皆ここを切る。

羽織の袖口が余りバラバラおそろしくなるので、今着ているのは、外側から同じような布地でくるみぶちをとってしまった。細かい絣だから余りみっともなくない。

そういう羽織を着て、体の半分をくるむような大前掛をかけて、帯は御免蒙って兵児帯である。迚もしゃんとした帯をしめて仕事をすることは出来ない。

急にお客様があったりして、私はいつもそのまま出るのだけれど、私のような働きの性質だと、どうしても働き着即ちふだん着しか仕方がない。夏は袂を元禄袖にしているのもある。