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ぼくのどくしょほう

僕の読書法

織田 作之助

「現代文学」1943(昭和18)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 3,059 字 · 7 页

青空文庫

己惚れるなど飛んでもないことだ。ことに読書という点でははなはだ自信が無い。鴎外や芥川龍之介などどのようにしてあれ程多読出来たのか、どのようにして読書の時間をつくったのか、そしてどのようにして読んだものを巧く身につけたのか、その秘法があれば教えて貰いたいと思うくらいである。所詮「わが読書法」という題はくすぐったいのである。

鴎外は子供の前で寝そべった姿を見せたことがないというくらい厳格な人だったらしいから、書見をされる時も恐らく端坐しておられたことであろうと思われるが、僕は行儀のわるいことに、夜はもちろん昼でも寝そべらないと本が読めない。従って赤鉛筆で棒を引いたり、ノートに抜き書きしたりするようなことは出来ない。そういうことの必要を思わぬこともないが、しかし窮屈な姿勢で読んだり、抜き書きしたりしておれば、読書のたのしみも半減するだろうと思われるのだ。たのしみと言ったが、僕は勉強のために読書することはすくない。たのしみのために読書するのである。だから、たとえば鴎外なら鴎外を読んだあとで、あわてて誰かの鴎外研究を繙いてみたりするようなことは避けている。