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ぼくはこれからだ

僕はこれからだ

小川 未明

「新児童文化 第3冊」1941(昭和16)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,555 字 · 17 页

青空文庫

「おうい、やめろ、あぶないぞう!」と、下からわめく声がきこえました。この声は彼の耳に入ったけれど、

「なに、くそ……。」と、彼は、返事をするかわりに、歯ぎしりをしていた。

突然、人間の頭が、にょっきりと屋根の端から伸び上がると、さすがにからすは、これに敵わぬと思ったか、いちはやく、どこかへ逃げていきました。

スレートの面は、太陽の熱で油を流すごとく焼けていて、足の裏へ、針を刺すように痛さを感じさせた。

「もう、降りろう!」と、見ていたものの中から注意するものがあった。

達吉は、ただ登らなければならぬ気がしていた。顔を上げると、まだ巣のところまで三、四メートルありました。同時に下を見ると、すぐ近く大きな木が目に入り、四方へ張った枝の柔らかな緑色は毛氈を拡げたように、細かな葉が、微風にゆれていました。そして、こんな際に、どうしてか、いつか病院の窓から見た、あおぎりの幻覚が浮かんだ。

「己は、どうすればいいのか?」さっと感激の失せた刹那、自分のすることがわからなくなり、心がぐらつくと足の感覚までなくなって、体がずるずると下へ滑りはじめた。堅いスレートにはどこにもつめの立てようがない!