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ぜんたいしゅぎへのぎんみ

全体主義への吟味

宮本 百合子

今日の民衆、知識人への課題

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,705 字 · 14 页

青空文庫

左翼的詩人、評論家としての作者の境遇は、語られているところに従って推察すれば勤労者的な家族の中における或は唯一人の知識人、意識人である。運動の波がひいたとき、この作者は自分のまわりにある家の中の人々の庶民的な顔を長め、素朴な、自然発生的な生きかたを眺め、それを庶民的な、民衆的な素直さとして胸をうごかされ、自分自身も素直になって、自分の生きかたを肯定している小説である。この場合にあらわれている主人公の知識人、意識人としての自分の本質を放棄した民衆性への追随と、民衆性、庶民性、その素直さなどというものの解釈にある感傷的な甘さ、感傷的な観念性が、時代的なものとして関心をひくのである。

今日ある年齢に達している知識人の何割かは親の借金で教育を受けている。さもなければ長男だからという理由で、「収獲以前」の主人公のように、将来の負担者として投資されて、家じゅうで只一人の大学出として教育され、知識人となっている。勤労家庭から長男が立身して、「皆を楽にさせた」時代はとうに過ぎているから、そのような経済的根拠に立って知識人となった青年たちの或るものが、「収獲以前」