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やつがたけにおいかえされる
八ガ岳に追いかえされる
梅崎 春生
「旅 第三二巻第八号」日本交通公社、1958(昭和33)年8月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,431 字 · 5 页
(後日その写真を来る人ごとに見せびらかして、テング登頂を吹聴したのである)
スリバチ山なんぞに登って大喜びするのは男が廃れるから、僕は黒百合平で高山植物を鑑賞したり、ヒュッテで弁当を食べたりした。朝七時にメシを食って、十時半だというのに二食分の弁当をぺろりと平げた。
山登りというものは、腹がへるものである。
やがて遠藤君たちは降りて来た。
「僕の方がスリバチ山の分だけ、梅崎さんより高く登った」
と、遠藤君はしきりにいばったが、スリバチ山なんか山の部類には入らない。這い登ったって、頂上まで二分ぐらいしかかからないのである。
十二時、降りの道についた。
登るのは約二時間かかったが、降りるのは早い。
一時間足らずで渋温泉についた。
そして、その日の夕方、バスで蓼科についた。
それから一週間ばかり、遠藤君はビッコを引いて歩いていたが、やはりあんな蒲柳の質の人は、スリバチ山程度でもムリだったのであろう。気の毒なことをした。