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やつがたけのまじん

八ヶ嶽の魔神

国枝 史郎

在线阅读国枝 史郎《八ヶ嶽の魔神(やつがたけのまじん)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 160,664 字 · 323 页

青空文庫

内藤駿河守正勝は初老を過ごすこと五つであったが、性濶達豪放で、しかも仁慈というのだから名君の部に属すべきお方、しかし、欠点は豪酒にあった。今日も酒々、明日も酒……こう云ったような有様である。

ある日弓之進が伺候すると、

「そちの養子葉之助、今年十二の弱年ながら珍らしい武道の達人の由、部屋住みのまま百石を取らせる、早々殿中へ差し出すよう、近習として召し使い遣わす」

「これはこれは分に過ぎたる有難きご諚ではござりますが、葉之助儀は脳弱く性来いささか白痴にござりますれば……」

「これこれ弓之進、痴けたことを申すな!」

濶達の性質を露出しにして駿河守は怒鳴るように云った。

「性来白痴の葉之助が、近藤司気太、白井誠三郎、山田左膳というような武道自慢の若者どもを打ち込むほどの技倆になれるか!」

「恐らく怪我勝ちにござりましょう」

「石渡頼母の三男などは代稽古の技倆ということだが、葉之助とは段違いだそうだ。そんな白痴なら白痴結構。是非明日より出仕をさせろ」

こう云われてはしかたがない。それに有難いご諚である。弓之進はお受けをした。

で、翌日から葉之助はご前勤めをすることになった。