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やつがたけのまじん

八ヶ嶽の魔神

国枝 史郎

在线阅读国枝 史郎《八ヶ嶽の魔神(やつがたけのまじん)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 160,664 字 · 323 页

青空文庫

ある日にわかの殿の仰せで、弓射の試合を始めることになった。

駿河守は馬に乗り近習若侍を後に従え、矢場を指して走らせて行く。

矢場には既に弓道師範日置流に掛けては、相当名のある佐々木源兵衛が詰めかけていたが、殿のお出でと立ちいでて恭しく式礼した。

「おお源兵衛か今日はご苦労」駿河守は頷いたが、「すぐに射手に取りかかるよう」

「かしこまりましてござります」

源兵衛がご前を退くと、忽ち法螺貝が鳴り渡った。

射手が十人ズラリと並ぶ。

ヒューッ、ヒューッと弦音高く的を目掛けて切って放す。弦返りの音も冴えかえり、当たった時には赤旗が揚がる。

鉦の音で引き退き法螺の音で新手が出る。

番数次第に取り進んだ。

最後に現われた三人の射手は、印可を受けた高弟で、綿貫紋兵衛、馬谷庄二、そうして石渡三蔵であったが的も金的できわめて小さい。一人で五本の矢を飛ばすのであった。

甲乙なしに引き退いた。

後には誰も出る者がない。今日の射法は終わったのである。

「これ葉之助」と駿河守は傍の葉之助へ声を掛けた。

「そちは剣道では一家中並ぶ者のない達人と聞くが、弓と馬とは弓馬と申して表芸の中の表芸、武士たる者の心得なくてはならぬ。