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やさかにのまがたまこう

八坂瓊之曲玉考

喜田 貞吉

「歴史地理 第六一巻第一号」1933(昭和8)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,858 字 · 26 页

青空文庫

『日本紀』などの古書には、そのいわゆるタマのことをしばしば「勾珠」または「曲玉」と文字に書きあらわし、古訓それを「マガタマ」と読ませているのである。試みにその用例を示さんに、『日本紀』天上誓約の条、および天岩戸の条等に「八坂瓊之五百箇御統」といい、またその同じ条の一書に、「五百箇御統之瓊」と書き、あるいは「景行紀」「仲哀紀」などに、単に「八坂瓊」とのみあるものを、他の一書には「瑞八坂瓊之曲玉」「珍宝八坂瓊之曲玉」、あるいは単に「八坂瓊之曲玉」などとも書き、「垂仁紀」には「八尺瓊勾玉」の文字を用いているのである。また『古事記』には、「八尺勾※(「王+總のつくり」、第4水準2-80-88)」とも、また「八尺勾※(「王+總のつくり」、第4水準2-80-88)之五百津之御須麻琉之珠」などとも書いているのである。しかして後世には、三種の神器の場合、八咫鏡、草薙剣に対して、普通に八坂瓊曲玉の称をもって呼ぶ例になってしまったようである。しからばここに曲玉あるいは勾玉、勾珠などの文字をもってあらわされたところの物が、その実前節述べたところのタマであって、すなわち玉の緒をもって綴った連珠その物の称でなければならぬ。