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ろくがつ
六月
相馬 泰三
「早稲田文学」1913(大正2)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,673 字 · 37 页
というものにももう新らしい型が出来ているよ。それに僕は君たちのような趣味に富んだ詩人ではないんだ。趣味なんてものにはむしろきわめて冷淡で、そして大変な不風流人だよ。それから君たちのような学者でもない、僕は事実この数年来書物らしい書物なんか一冊も読んだことがない。いつもよく君たちが言う最近の学説だの、新主張だのというものも僕にはただいたずらに退屈で、全く何の興味も持つことが出来ないのだ。……まったく、袖ふれ合うも多少の縁と思えばこそ笑談のつき合いもしているようなものの、恐らくは、そうだ、恐らくは僕は君たちが僕を遇していてくれるほど、君たちを尊敬してはいないかも知らないよ。そして僕は今、こうして君たちと一緒になってこんな仕事をしているが、いつ、いや明日にでも社を止すかも知れないんだ。僕には「芸術」という立派な職業があるのだから、本当を言えば僕がその上に新聞記者なんかしているのは全くお羞かしいような次第なのだ。僕はいつだって、一日も早くこんなことを止さねばならぬと思っていないことはないのだ。心にもないこんな片々たる仕事をして、まるで身を売るような卑しいことをして貴重なる生命を一時でも過ごすということはないのだ。