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きょうさんとうこうはんをぼうちょうして
共産党公判を傍聴して
宮本 百合子
「働く婦人」日本プロレタリア文化連盟、1932(昭和7)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,846 字 · 10 页
すると党員の中から一人の男のひとが立ち上り堂々と演説をはじめました。杉浦啓一でした、「この間の選挙のとき獄内で、立候補したひとよ」と○○○さんが教えてくれました。杉浦啓一は力づよい、飾りない言葉で第四年目の三・一五を記念し、ブルジョア・地主のひどい政府が、どんなに党員たちを苦しめるか、死ねがしに扱うか、いやいや現に党員の誰とかを警察のコンクリートの床になげつけて殺した事実をあげて、政治犯人即時釈放を要求しました。監獄の病舎は、南側の日当りのいい方はただ歩く廊下にしてあるのだそうです。日の当らない北側だけが病室にあてられているときいて、私は憎らしい気がしました。四年間に二十七名の党員たちが死んだのだそうです。よくバスの車掌さんなんかで警察へつかまると、スパイが迚も拷問し、しかも女として堪えられないような目にあわす話をききますが、みんなそれは嘘でない証拠がここにあると思いました。
監獄では何ぞというと懲罰をくわすのだそうです。革命記念日に嚔をしたと云って懲罰をくったと杉浦啓一が云ったら、みんなドッと笑い傍聴人まで笑いましたが、法官帽の連中はどんよりした顔で別に笑いもしません。