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きょうやくかいてんだん

共軛回転弾

海野 十三

――金博士シリーズ・11――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,359 字 · 21 页

青空文庫

はずさないばかりか、ルス嬢は躊躇の色もなく、博士の前に燻製バイソンなどを詰めあわせた食料容器の蓋をぽかんと払ったものである。

4

やっぱり効目があった。燻製料理は、金博士にとって、恰もジーグフリードの頸に貼りついた椎の葉の跡のようなものであった。それが巨人に只一つの弱点だった。博士は今や羊のように温和しくなって、前にルス嬢とベラント氏を座らせている。尤も博士自身は、両人提供のバイソンの燻製を大皿にうつして、盛んにぱくついている有様だった。

人見知りをしないで、核心にとびこんでいく心臓人種のアメリカ人のことなれば、嬢も氏も、こうなっては燻製屋の仮面をさらりとかなぐり捨て、ルーズベルトの特使でござると名乗りあげて、金博士の前に陣を構えているわけである。事は早くなければならない。「博士。飛切り上等の物凄い新兵器として何を提供して頂けましょうか」

「うむ。むにゃむにゃ……」

「それを使えば、敵側は全く処置なしという凄いものを御提供願いたい。そのお礼の一つとして、博士をアラスカへ御案内したいですな。エスキモーの燻製など、天下の珍味でございますよ」

「わしは人間は喰わぬ」