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しゃしんでんそうのしんぽう
写真電送の新法
寺田 寅彦
「東京朝日新聞」1907(明治40)年10月7日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,382 字 · 3 页
しかるにセレニウムの奇妙な性質として、その電気抵抗はこれを照らす光の強弱に応じてあるいは減じあるいは増すので、目的地に通ずる電流もまたこれに応じて増減するのである。受信機の方ではこの電流を受けて小さい電灯に通じ、その明滅する光線の一条をば発信機のと同じような円筒に巻きつけて廻転する写真の膜に投ぜしむる。さすれば発信機の原板の濃淡の度に応じて受信機の膜の光に感ずる度を異にしているから、これを現像して焼き付くれば直ちに原板の写しが出来上がるという訳である。
この発明は一時世界を驚ろかして諸国の新聞を賑わしたが、ごく近頃この機械の向うを張って仏国に現われたカルボンネル式というのがあって、これはまだ全く成効の域には達せぬが、とにかく耳新しくてその仕掛けも巧妙と思われるからその概略を御紹介したいと思う。
カルボンネル式では、セレニウムのごとき取扱いの六かしいものは少しも用いず、有りふれた道具立で出来るところがちょっと面白く思われる。すなわち送ろうと思うものが写真ならば、これを薄い金属板に焼付けこれを前のコルン式同様に円筒に巻く。そして尖った針の先をこの円筒に触れしめ、この針より金属板を通じて電流を送りこの電流を目的地に送る。