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ふゆをこすつぼみ
冬を越す蕾
宮本 百合子
「文芸」1934(昭和9)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,898 字 · 14 页
そして誰の目にも明らかなように、反動的な動機から呈出されている両氏のいい分のかげに隠されているものに対して、注意をひかれたのであった。何故なら、もし一般の人々の感情が、ひと頃のように、プロレタリア作家の間でさえいわゆる転向しない者は間抜けのように見られていたままの弛緩し切った状態であったならば、両氏は、転向作家ボイコット提唱を可能にする社会的感情のよりどころを、つかむことはできなかったであろうから。また、転向が否定的な意味をもって一般の問題となってくるからには、当然他の半面に立つものとして、抵抗をつづけている者たちの、この社会における存在が、再び見直され、かつそれに対する評価は、ひところとちがって来ていることを暗示しているのではないであろうか。私はそれらの錯綜を興味ふかく思うのであった。
この二三ヵ月は月評につれて小林・室生両氏をはじめ、二宮尊徳について書く武者小路氏まで、この問題にふれている。『新潮』の杉山平助氏の論文、『文芸』の大宅氏の論文を熱心に読んだのは、恐らく私ひとりではなかったであろうと思われる。二人の筆者は、いわゆる転向の問題賛否それぞれの見解を今日の現象の上にとりあげ、内容の分類を行い、問題の見かたをわれわれに示した。