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しゅっけものがたり

出家物語

坂口 安吾

「オール読物 第三巻第一号」1948(昭和23)年1月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,838 字 · 28 页

青空文庫

部長さんと洋裁の課長さんは大阪と北海道へ島流しになる、伊東さんにはふられる、そこでコチトラの方へ風向きが変ってきやがっても、そうはいかねえよ。へん、男なんて、まったく、みんな、そんなものさ。コチトラも伊東さんも、おんなじ考えなんだから、今更人をコバカにして結婚しようなんて言ったって、クソ、ふざけやがると、ドテッ腹を蹴破って、肋骨をかきわけて、ハラワタをつかみだしてくれるぞ」

ビヤダル型のオジサンはめったに怒らぬものであるが、いざ怒ると、汗が流れて、湯気が立つ、ユデタコのようにいきりたって壮観である。

キヨ子もちょッと気まずい顔だ。

「そうお」

そして、

「じゃア、帰るわ」

立って、草履をはいた。

「じゃア、又、ね」

無邪気なもの、ニコニコしていた。

「又、くるわ」

そして、帰ってしまった。

へん、オタフクのバケ猫め、二度ときやがると、承知しねえぞ、という奴を、幸吉は呑みこまざるを得なかった。

又、きたら、今度は許してやってもいゝ、という考えが、そのとき閃いた。しかし、もう来やしないだろう。彼はひどくガッカリした。

色々のことが思いだされた。

可愛いゝ女じゃないか。