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しょしゅうのいちにち

初秋の一日

夏目 漱石

秋雨绵绵的旅途,三人各怀心事。窗外的虫鸣、艳红的鸡冠花,还有两天后即将到来的黑暗之夜,一切都透着淡淡的忧伤。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,662 字 · 4 页

青空文庫

すると左右を鎖す一面の芒の根から爽かな虫の音が聞え出した。それが幌を打つ雨の音に打ち勝つように高く自分の耳に響いた時、自分はこの果しもない虫の音に伴れて、果しもない芒の簇りを眼も及ばない遠くに想像した。そうしてそれを自分が今取り巻かれている秋の代表者のごとくに感じた。

この青い秋のなかに、三人はまた真赤な鶏頭を見つけた。その鮮やかな色の傍には掛茶屋めいた家があって、縁台の上に枝豆の殻を干したまま積んであった。木槿かと思われる真白な花もここかしこに見られた。

やがて車夫が梶棒を下した。暗い幌の中を出ると、高い石段の上に萱葺の山門が見えた。Oは石段を上る前に、門前の稲田の縁に立って小便をした。自分も用心のため、すぐ彼の傍へ行って顰に倣った。それから三人前後して濡れた石を踏みながら典座寮と書いた懸札の眼につく庫裡から案内を乞うて座敷へ上った。

老師に会うのは約二十年ぶりである。東京からわざわざ会いに来た自分には、老師の顔を見るや否や、席に着かぬ前から、すぐそれと解ったが先方では自分を全く忘れていた。私はと云って挨拶をした時老師はいやまるで御見逸れ申しましたと、改めて久濶を叙したあとで、久しい事になりますな、もうかれこれ二十年になりますからなどと云った。