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こくこく

刻々

宮本 百合子

「中央公論」1951(昭和26)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 36,401 字 · 73 页

青空文庫

え? そうでしょう?」

これは事あたらしく清水がいうばかりではない。中川も云い、駒込署の主任も云う。そしてブルジョア批評家の或るものも同じように云っているところなのである。押し問答の間に、半面が攣れたような四角い顔をした清水は、

「ヤ、すみませんが……ヤ、これは恐縮です」

など主任に茶をついで貰っている。

号外の方は小一時間で終った。今度は、ケイ紙などと重ねて机の上に出してある「働く婦人」をとりあげ、片手でワイシャツの腕を、かわりがわり引きあげた。

「これは、あなたが編輯責任ですね」

「そうです」

「こちらも無茶なことは云わんつもりですから、あなたも、これについては責任を負って貰わなくちゃならん。いいですか?」

自分は、

「私が納得出来れば負うべき責任は負います」

そう答えた。

「でも、お断りしておきますが、その点できっとそっちの意見と私の考えが一致するとは今から云えないことです」

「いや、分りました」

編輯部の顔ぶれ、書記局との関係などを訊いた。

「なるほど……赤坊の手を捩るようなものだから放っておいたんだが、この頃メキメキ高度になって来たじゃないですか、え? こんなに高度になっては放っても置けない、え? そうでしょう?」