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けんのよんくんし
剣の四君子
吉川 英治
03 林崎甚助
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,514 字 · 22 页
また、茨組から脱した沼沢甚右衛門は、常陸の真壁に、葦沢弥兵衛は武州牛久在に、桜場隼人は三州挙母村に、それぞれ一道場を持って大いに道風を興したとある。
なお、林崎甚助自身は、各地を遊歴して、自然、門流のひろまる一方、後年またさらに、鹿島神宮の武林に入って、天真神道流の研鑽に身をゆだね、元亀何年かには、越後の上杉謙信の幕将、松田尾張守に随身して、戦場をも馳駆したらしいが、謙信の歿後は、杳として、その足蹟も定かでない。
晩年は奈良に住んでいたという説もあるし、鹿島で終ったという説もある。五十何歳かで郷里林崎で病歿したともいわれている。いずれにしろ半生は確説もない。しかし、彼の林崎夢想流は、不滅の光茫を遺して行ったし、その誕生の森、林崎明神は今もそのまま現存している。
夢想と流名に称えても、彼の百日参籠には、何らの奇蹟的なはなしも伝えられなかった。けれど奇蹟のないところに、彼の真実な魂の神化があった。肉体を百日の精進に燃えきらして仆れるまでに至れば、ひとり林崎甚助重信のたましいばかりか、誰の精神でも、どんな道に於ても、神の夢想をつかむことができよう。
「甚助。