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けんきょう
剣侠
国枝 史郎
「山形新聞」1936(昭和11)年3月~8月18日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 156,961 字 · 310 页
(一人で行ったら返り討ち、陣十郎に討たれるであろう。……惜しい武士! 気の毒な武士! ……どうでも助太刀してやらねば……)
――が、そっちへ身を挺したら、林蔵はどういう運命になるか?
(どうしたら可いか? どうしたものだ?)
知らぬ藤作は急き立てた。
「先生、早く、行っておくんなせえ! ……云いたいことはたくさんあるんで……第一女が誘拐されたんで……若い女が、綺麗な女が……誘拐した野郎は猪之松の乾兒と、その相棒の馬方なんで……最初は俺らと杉さんとで……へい、そうで浪之助さんとで、その女を助けたんですが……逃げた八五郎め馬方を連れて、盛り返して来てその女を……その時浪之助さんは留守だったんで……いやいやそんなこと! ……行っておくんなせえ、さあ先生! 親分が大変なんだ猪之松の野郎と! ……」
(行かなければならない!)と要介も思った。
(鴫澤氏は赤の他人、少くも縁は極めて薄い。林蔵の方は俺の弟子、しかも現在この俺は、林蔵の家に世話になっている。深い縁がある、他人ではない。……その林蔵を見殺しには出来ない! 行こう! しかし、そうだしかし、主水殿もお気の毒な! では、せめて言葉の助太刀!)