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げきだん「わらうようま」
劇団「笑う妖魔」
山本 周五郎
「少年少女譚海」1938(昭和13)年夏期増刊号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,705 字 · 18 页
「道化の死体を解剖して下さい。重大な秘密が隠されてある筈です」
「死体に? ……重大な秘密だって?」
「すぐにやって下さい。それが説明になるでしょう。僕は父を迎えに行って来ます。――むろんこいつらは一人も逃さぬように!」
云い捨てるとともに、五郎は帽子をつかんで外に走り出した。
一時間の後、――五郎が父市造氏を伴って戻ってくると待ちかねていた司法主任は、市造氏に挨拶をするのも忘れて、
「五郎君、あったぞ、あったぞ」
と取り乱した調子で叫んだ。
「ありましたか」
「解剖したら死体の胃からすばらしい物が出てきた。見給えこれを――みんな要港地帯の機密写真だ。防空設備を写したやつもある。超小型カメラで撮ったフィルム、合計七十三枚。みんな国防上の重大なものばかりだ」
卓子の上へ展げた油布へ、拇指程の大きさの現像フィルム。――ああ、怪殺人事件の犯人とのみ思ったのは誤り、敵はそれ以上の恐るべきスパイだったのだ。
「それから手紙がある。読んでみたらゆき子さんが日東劇場の地下室に監禁されていると書いてあったから、いま救い出しに人をやったところだ」
「見せて下さい」
五郎は手紙を受取って披いた。