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げきだん「わらうようま」

劇団「笑う妖魔」

山本 周五郎

「少年少女譚海」1938(昭和13)年夏期増刊号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,705 字 · 18 页

青空文庫

し、それ以来全く隠遁的な生活を送っていた。しかし警察界の事には今でも関心が捨て切れず、何か難事件があると独りであれこれと研究してみるのを唯一の楽しみにしていた。さっきから五郎に話していたのもそれで、最近頻々として起る怪殺人事件を、独特の観察眼で縦横に解剖していたところである。

怪殺人事件とは?

第一は長崎要港部の看視人の怪死、第二は大幡製鉄所の若い技師の怪死、第三は瀬戸内海遊覧船「むらさき丸」の船医の怪死、第四は大阪港湾局の巡邏船の乗組員四名の怪死、第五は敦賀、第六は静岡県沼津、第七は横浜、――こうして七件の怪殺人が何れも犯人不明のまま、第一の地の長崎から、次第に東京へと近づきつつあるのだ。

「今度は東京で事件が起るぞ!」

それが市造氏の言葉であった。

五郎は府立×中の四年生で、不良の兄のために前途ある官界を放擲した父に代って、自分こそ大いに出世し、海部家の名誉を恢復しようと努力している。成績も級一だし、気質も良く、級友たちから敬愛の的にされていた。それだけにまた一方の友達からは、

「あいつ厭に偉がってやがる」

という猜みも受け、中にも橋本貞吉という乱暴な奴は、時折変な悪戯をしかけるのであった。