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すけごろうよざい

助五郎余罪

牧 逸馬

「探偵趣味」1926(大正15)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,407 字 · 15 页

青空文庫

これが豊住又七をこじらしたものとみえて、その夜の笛は出からして調子が高かった。付いて行くためには、他の下方は勿論、唄の和泉屋まで急に加減を上げなければならなかった程、それほど約束を無視したものだった。が、それは未だよかった。はらはらしながら竹二郎が、撥を合せて行くうちに、一調一高、又七の笛は彼の三味を仇敵にしていることが解って来た。そして、満座の中で何度となく彼は糸を切らせられたのである。しかも、新しい名取りの声は、旱りの後の古沼のように惨めにも嗄れて終った――。

それから四日経って又七の遭難。

こんなことには慣れているだけ、助五郎にはすべてが判った。和泉屋だって雷門だって世間態もあれば警察もこわい。で又七代理と偽って和泉屋と雷門の二軒へ据わりこんだ助五郎は大枚の金にありついて、一と月程は豪気に鼻息が荒かった。

あとから小博奕で揚げられた時の、これは天下の助五郎脅喝余罪の一つである。

(一九二六年十二月号)