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べんきょうき
勉強記
「文体 第二巻第五号(五月増大号)」1939(昭和14)年5月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,952 字 · 36 页
この世に顔の数ある中で、温顔の中の温顔である。常に適度の微笑をふくみ、陽春の軟風をみなぎらし、悠々として、自在である。声はあくまでやわらかく、酔にまぎれて多少の高声を発するようなことすらもない。洒脱な応待で女中をからかい、龍海さんと按吉にさかんに飲ませて、自分は人につがれなければ強いて飲むということがなかった。
さて、ここをでて、何代目かの管長候補は二人の青道心をひきつれて、待合という門をくぐった。
思うに何代目かの管長候補は、二人の青道心が、酔わないうちから女を論じ、酔えば益々女を論じ、徹頭徹尾女を論じて悟らざること夥しい浅間しさをあわれみ、惻隠の心を催したのに相違ない。高僧はどのように、又、どの程度に、女色をたのしむべきか、という具体的な教育を行うつもりであったのだ。
芸者が来た。みんな何代目かの管長候補の長年の馴染で、芝居の話や、旅の話や、恋人の話や、凡そお経の話以外はみんなした。
深夜になって、一同、待合の一室で雑魚寝した。朝がきた。顔を洗って、着物を着代えて、何代目かの管長候補は女の襟を直してやったり、女の帯をしめてやったり、熟練の妙をあらわして、二人の青道心をしりえに瞠若たらしめた。