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うごかされないということ
動かされないと云う事
宮本 百合子
「宮本百合子全集 第二十九巻」新日本出版社、1981(昭和56)年12月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,053 字 · 3 页
ほんとうに、もう少し動かされなくなったらどんなに好いだろうと思います。
けれ共有難い事には、此の一二年同じ動くにしても、或る一点の支点だけは不動に確立して居る事を信じられる様になったのは嬉しい。
只それ丈で、どんなに動かされても堪えられ幾分ずつなりとも育てられては行きますけれどまだまだ私の心は若すぎると思わずには居られません。
まるで赤坊と同じです。
赤坊が風車を廻されて驚き、舌出し三番の舌を見て泣き出すと同じ等な驚きをし泣き方をして居ます。
ほんとうに動かされたくない。
けれ共又そうかと云って、世の中のどんな事でも平気になって仕舞って、ニヤニヤ嘲笑いながら苦しんで居る者、育とうとして悩んで居る者を見下す自分を想像する事は尚たまりません。
そんななら寧ろどんなにでも動かされて苦しむ方がどれ程好いか分らない。
「根のしっかりした草が風に吹かれる」様でありたいものです。
私は決してまるで動かない木偶の様な人間になる位なら死んだ方が増しだと云う程に感じて居るけれ共又、仕切りなしに動かされて居る事は何だか不安でもあるのです。
動くにしても私は深さに動かされ度い。