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じゅうごねん

十五年

山本 実彦

「改造」1934(昭和9)年4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,158 字 · 17 页

青空文庫

お世辞を言うのが大の嫌いであった。これは別の話だが、いつかゆっくりした時間があったとき、彼に「現存する世界の偉人は誰と思う? その三人ばかりを挙げて見てくれ」と言ったら、彼は第一にアルベルト・アインシュタインを挙げ、第二にある人を、そして三人目には答えなかった。そのとき私は「相対性原理」なるものが学界で如何なる地位にあるかを知らなかった。したがってアインシュタインなる人がどんな人かをも知るところがなかった。彼は余の通訳子をしてニュートンに相対立する偉人であることをつぶさに物語ってくれた。

それから、その翌日であったか、その日は確かにおぼえぬが、私は西田幾多郎さんに相対性理論のいかなるものであるかをきき、さらに、石原純さんにもそのことをきいて、今度は我が学界のために四、五万円を投じてアインシュタイン氏を招聘するときめて、室伏高信君に渡欧してもらったのであった。

もっとも、そのことを決するまでには、いくたの我が理学者たちの意見もきいたのであったが、異口同音に、「それは大学でもかねがね招びたく思っているのであるが、その費用がないので」とのことがあった。