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じゅうえんさつ
十円札
穷得叮当响的作家堀川保吉,口袋里只剩六十钱,却还惦记丝帽、音乐会和女人。一张十円钞票的出现,能让他体面地撑过这一天吗?
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,647 字 · 18 页
「月給は御承知の通り六十円ですが、原稿料は一枚九十銭なんです。仮に一月に五十枚書いても、僅かに五九四十五円ですね。そこへ小雑誌の原稿料は六十銭を上下しているんですから……」
保吉はたちまち熱心にいかに売文に糊口することの困難であるかを弁じ出した。弁じ出したばかりではない。彼の生来の詩的情熱は見る見るまたそれを誇張し出した。日本の戯曲家や小説家は、――殊に彼の友だちは惨憺たる窮乏に安んじなければならぬ。長谷正雄は酒の代りに電気ブランを飲んでいる。大友雄吉も妻子と一しょに三畳の二階を借りている。松本法城も――松本法城は結婚以来少し楽に暮らしているかも知れない。しかしついこの間まではやはり焼鳥屋へ出入していた。……
「Appearances are deceitful ですかね。」
粟野さんは常談とも真面目ともつかずに、こう煮え切らない相槌を打った。
道の両側はいつのまにか、ごみごみした町家に変っている。塵埃りにまみれた飾り窓と広告の剥げた電柱と、――市と云う名前はついていても、都会らしい色彩はどこにも見えない。殊に大きいギャントリイ・クレエンの瓦屋根の空に横わっていたり、そのまた空に黒い煙や白い蒸気の立っていたりするのは戦慄に価する凄じさである。