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じゅうねんごのラジオかい

十年後のラジオ界

海野 十三

「新青年」1929(昭和4)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,890 字 · 4 页

青空文庫

も、ラジオ的に理屈のあるものなのかい。」

「勿論さBさん。『嗅ぐ鼻』は無線方向探知器の発達したもの。『見る眼』は光電受信機の発達したるものなのサ。これ等も十年後には、君の前へ正体を明らかにするだろう。」

「じゃ、うっかり死ぬわけには行かないネ。無銭飲食をした揚句、自殺と出掛けても娑婆から借金取りが無線で押し寄せるなぞ、洒落にもならない。この世の悪事は、すべて自らが償わねばならなくなるわけだネ」

「だから、この世で悪事をするものが絶えてしまう。ラジオのお蔭で、この世ながらの神の国、仏の国となる。有難いじゃないか。」

「――そりゃいいが、この世からあの世へ伸すことができるというからには、あの世の亡者連中もこの世へ、のさばってくることになりゃしないかい。」

「それは大有りさ。幽霊なんかゾロゾロ現れるだろうな。そりゃどうも仕方がないサ。君を思いつめ、君の奥さんを呪って死んだD子の亡霊なんぞ、早速ドロドロとやってくるぜ。」

「ウワーッ。僕は明日から、参禅生活を始める決心をした!」