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じゅうがつのぶんげいじひょう
十月の文芸時評
宮本 百合子
「東京日日新聞」1936(昭和11)年9月23~27、29日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,740 字 · 16 页
相当の太さを持った青竹が地べたから生えている。青竹はきめのつまった独特の艷を持っていて、威勢がよさそうに見えるのに地べたから四尺ぐらいのところで、スパリと胴ぎりにされている。切り口の円いずん胴が見える。新しい芽がふき出すとしたら、それは、その青竹のわきからであろう、この切り口からは芽はふかぬ。
深田久彌氏の「強者連盟」を読み終りのこされた複雑な後味を考えているうちに、私の心には右のような一つのなまなましい表象が浮んで来たのであった。
作者は、この人生に日本の過去の教養的常識が呈出して来たあくの抜けたもの、静的な美のかわりに、「動物的なもの」「骨格をつくる」ところの「アクのつよいもの」の価値を主張している。亮子という溌剌として生来の生活力を豊富に蔵した若い女を通じて、きまりきった「三方に仕切った舞台のような」枠の内での生活に対する本能的な嫌悪を語っている。又、彼女の兄である小説家伴三の作家的日暮しの姿を批判して「小説ってそんなものかしら」「兄さんの勉強というのは場面場面をソツなく書くための工夫で、心をどうかするという魂のこもったものじゃないんだわ」