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じゅうがつのぶんげいじひょう

十月の文芸時評

宮本 百合子

「東京日日新聞」1936(昭和11)年9月23~27、29日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,740 字 · 16 页

青空文庫

プロレタリア文学がそのおびただしい未熟さにかかわらず、日本の文学の発展のために益した点は文学の内容表現における社会性の評価であった。二三年前プロレタリア文学運動に蹉跌を生じ急速に退潮するとともに、文芸復興の声が高くあがった。それには、当時として必然なさまざまの理由があったのではあるが、それ以来多くの作家の「芸の虫」めいた技法追究は激しく推移する日本の現実の情勢から、作品の社会性を、すごい有様で引はがしてしまった結果を生じているのである。

ヒューマニズムの問題

本月もヒューマニズムの問題はほとんどすべての雑誌にとりあげられている。ヒューマニズムがこんにちの現実の中で持っている健全性への可能は、文学の視野をすでにその発展のためには、ある意味で狭隘化している文壇から、もっとひろびろとした生のままの人間的情熱の歴史的課題そのものの中へひらき得る予想にかかっている。「現代ヒューマニズムの文学」(青野季吉・新潮)で、「現代のヒューマニズムは反動的バーバリズムからの人間の擁護である」といわれていることは、最も普遍的なこの問題の本質として肯定することができる。