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ちよこ(さん)
千世子(三)
宮本 百合子
「宮本百合子全集 第二十八巻」新日本出版社、1981(昭和56)年11月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 26,906 字 · 54 页
「ええそいじゃあ左様なら、
つれて来ても好いから半端な数にしちゃあいけませんよ。
こんな事を千世子は云いながら出入口まで篤を送って行った。
風が出たらしいんですね。
篤はこんな事を云いながら石の上を一つ一つ踏んで出て行った。
部屋に帰るとすぐ千世子は大きな椅子の上にうずまる様に腰をかけた。
そうして頭を後のクッションにうずめると泣きつかれた子供の様に夢ばっかりの多い眠りに入った。
ややしばらく立って目をさました時躰に羽根布団がかけられてわきに電気のスタンドがふくれた色にともって居た。
顔を手の甲でこすりながら不精らしく身動きをして、女中の名を呼んだ。
まあ御目覚めなさいましたねえ。
と大きな声で云って女中が入って来た頃千世子は髪を解いて梳って居た。
「お客様がおすみになるとすぐおよったんでございますねえ。
「あああんまり話したんでね、
すっかり疲れたんだよ。
「私はまあ、貴方様があんまり大きなお声でお話しなすっていらっしゃるからどう遊ばしたんだと思って居りましたの。
女中はこんな事を云ってわけもないのに大きな声をたてて笑った。
そして女中が牛乳を銀色に光る器に入れて持って来た時また元の椅子に腰をかけて千世子はうつらうつら寝入りそうな気持になって居た。