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なんぼくアルプスつうせつ
南北アルプス通説
木暮 理太郎
「日本アルプス」1930(昭和5)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,372 字 · 11 页
ない。尤も北岳の頂上は三つの隆起に岐れているからこれを三峰とし、農鳥岳は西峰との間に一突起があるので、これも一峰としたならば、総計七座とせられぬこともない。けれどもかくの如き小隆起をも一峰として取扱うならば、穂高山群のみにて五や六を増加するのは容易である。また南アルプスで最も起伏の多い部分は、赤石岳を中心として北は悪沢岳から南は聖岳に至る延長一、二粁の間であるが、少し無理をすれば十二座は数えられる。しかし北アルプスの立山附近においては、南はザラ峠から北は大窓の北方に至る同距離の間に優に十六座を数え得ることは、もって如何に山の頂線が北アルプスに急迫し、南アルプスに悠揚たるかを証するものである。従って槍、鑓、劒、赤鬼、餓鬼、錫杖等は、北アルプスの山名には似合わしい文字であるが、南アルプスには例外として唯一の鋸岳があるのみである。
次に著しく目を惹くものに夏の残雪がある。わが国の如く冬季の西北風の卓越せるところでは、その拉し来る日本海の水蒸気が、真先に雪となって降下するに都合よき位置にある北アルプスに多量の降雪を見るのは当然であって、海岸に近いほどその効果も大である。