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なんぽうものがたり

南方物語

小川 未明

「赤い鳥」1928(昭和3)年9月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 5,065 字 · 11 页

青空文庫

」と、かわせみは、心配そうに聞いたのであります。

つばめは、いまそのことを思い出したように、うなずきながら、

「それは、高い山に、いつも雪のある北の国の町でした。ある日、私は飛んでいますと、一軒の薬屋のガラス戸のはまった店さきに、めずらしい鳥のはくせいがありました。私は、見おぼえのあるような気がしたが、そのときは、急いでいましたので、よくそれを見ませんでしたが、あれは、あなたの弟さんではなかったようです。きっと、そのうちに、帰っておいでになりますよ。」と、なぐさめるようにいいました。

かわせみは、うらやましそうに、つばめを見上げながら、

「あなたたちは、どこへいっても、人間にかわいがられて、おしあわせですこと。」と、感嘆いたしました。

つばめは、それを打ち消すように、羽ばたきをして、おしゃべりをはじめました。

「北の国では、そうでありましても、こちらへきては、なかなか油断がなりません。へびが子どもをねらっていますから。」と答えました。

かわせみは、すばしこく水の上をいったり、きたりしながら、

「こんどの巣は、なかなか安心な場所じゃありませんか。それに、巣のまわりの木の枝には、毛虫がたくさんついていますから、そんなに遠くまでいって餌をおさがしなさらなくてもいいかと思います。