轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
なんばんひわもりうこんまる
南蛮秘話森右近丸
国枝 史郎
「少女倶楽部」1927(昭和2)年4月~10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 55,869 字 · 112 页
息を切らせた若い娘と、若い武士とが立っていた。
娘は民弥、武士は右近丸、うまく二人を目つけたのである。
民弥を見ると猪右衛門は、これは! というような表情をしたが、「オヤオヤこれは先刻方、人形をお売り下された、お嬢さんではございませんか。何かご用でございますかな」こう云いながら猪右衛門は素早く玄女へ眼配せをした。用心しろと云ったのである。
「はい」と云うと娘の民弥は気の毒そうに云い出した。「少し都合がございますので、お売りいたした人形を、買い戻しとう存じます。どうぞお返し下さいまし」
「成程」と云ったものの猪右衛門はどうしてどうして返すことではない。鼻の先でフフンと笑った。「がどうもそいつはいけますまいよ」
「それは又何故でございますか」民弥も後へ引こうとはしない。
「一旦買い取った上からは、この人形は私の物、お返しすることではございません」
「そう仰有らずに是非どうぞ……」
「駄目だあアーッ」とがぜん猪右衛門は兇悪の香具師の本性を、露骨に現わして一喝した。「帰れ帰れ! 返しゃアしねえ!」
「これ!」と叱るように声をかけ、進み出たのは右近丸で見れば両眼を怒らせて、刀の柄へ手をかけている。