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なんばんひわもりうこんまる

南蛮秘話森右近丸

国枝 史郎

「少女倶楽部」1927(昭和2)年4月~10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 55,869 字 · 112 页

青空文庫

ここら辺りは郊外である。人家もまばらで人通りも少い。木立があちこちに茂っている。その木立へ背をもたせ、夕暮の陽に染まりながら、猿若はいつ迄も考えた。

「……他に手段はなさそうだ。うまく忍び込んで連れ出してやろう。……家の案内は知っている。……裏庭へ入り込み壁をよじ、二階の雨戸をコジ開けてやろう。……と云って日中は出来そうもない。宵闇にまぎれてやってやろう。ナーニ目つかったら目つかった時だ、何とかごまかしが付くだろう、付かなかったら仕方がない、戦うばかりだ、戦うばかりだ。……だがそれにしても今日の日は、どうしていつ迄も暮れないんだろう。同情のないお日様だよ」

呟いて空を見上げたが、決して決して今日に限って、日が永いのではなさそうである。

次第に夕空が暮れてきた。

「もうよかろう、さあ仕事だ」

木立を離れると猿若少年はもと来た方へ引っ返した。

ところが同じ日のことであったが、鴨川の水を溯り、一隻の小舟が駛っていた。

四五人の男が乗り込んでいる。

いずれも不逞の面魂で、善人であろうとは思われない。

夕陽が川水を照らしている。今にも消えそうな夕陽である。

「久しくよい玉にぶつからない。