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なんばんひわもりうこんまる
南蛮秘話森右近丸
国枝 史郎
「少女倶楽部」1927(昭和2)年4月~10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 55,869 字 · 112 页
「何人かお助け下さいまし!」
救いの声を立てながら、ヒョロヒョロ逃げ廻るばかりである。
こうして民弥と猿若とは、せっかくここ迄は逃げて来たが、またもや人買の手にかかり、連れ戻されなければならなかった。
だがその時松火の燈が、手近の森陰から現われて、五人の人影が足を早め、近づいて来たのは何者であろう?
見て取ったのは民弥である。追い廻す人買を突きのけて、一散にそっちへ走り出した。
「民弥めが逃げるぞ、追っかけろ!」
人買が後を追っかける。
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しかしその時には娘の民弥は、松火をかかげた一団の中へ、身を躍らせて飛び込んでいた。
「これは娘ごどうなされた」
こう云いながら見守ったのは、一人の立派な老女であった。他でもない浮木である。そうして現われたこの一団こそ、例の庭師の一群であった。
「はい」と云うと娘の民弥は、クタクタと土へ崩折れたが、「妾は京の片隅に住む民弥と申す者にござります。人買の手にかかりまして……」
「なに、民弥? ほほう左様か、これは幸、よい所で逢った。実はな、お前さまに逢おうと思うて、わざわざ山から下ったものでござるよ、……と云うのは他でもない、南蛮寺の謎につきましてな、お訊ねしたいことがあるからでござるよ。