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なんろ

南路

宮本 百合子

「太陽」1922(大正11)年1月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 31,813 字 · 63 页

青空文庫

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うるんだように白っぽく輝く空の下に、やや黄味を帯びた浅黄色の水面、金色のきらめく繊細(デリケート)な枯葦の上を、翼の淡紅色な鶴に似た鳥がゆるやかに円を描いて舞う光景が、暫く自分に我を忘れさせた。

五

ニュー・オルレアンスの、小さい雑駁な停車場に降りて見て、始めて、自分の心持は、長閑(のどか)な Tourist の心境と、どれほど異ったものであるかを知った。

合衆国有数の棉花市場で、一八〇三年かにジェファソンに取られるまでは仏蘭西(フランス)の植民地として、今でも或る部分には、少なからず仏国風の慣習や気分を保っているというこの市は、廻って見たら決して詰らない場所ではないだろう。

我々は、次の列車に乗込むまで、およそ六時間ほど、余裕を持っていた。若し、気さえあれば、相当に賢いサイト・シーイングが出来ない訳ではなかったのだ。

けれども、手間を取って荷物をシアトルまでリチェックし、二三日滞在する予定になっているロスアンジェルスの知人に電報を打ちなどすると、先ず自分が、神経的に精力を失ってしまった。

屋外には、紐育の復活祭(イースター)時分のように烈しい日光が照っている。