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あやうし せんすいかんのひみつ

危し‼ 潜水艦の秘密

山本 周五郎

「少年少女譚海」1930(昭和5)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,819 字 · 18 页

青空文庫

それから間もなく扉の外で、

「お兄さま、お兄さま!」と呼ぶ声がした。

「お入り!」春田君は顔もあげずにいう。

「御免なさい」そういって部屋へ入ってきたのは、龍介君の妹で尋常六年生、文子さんという活溌な、少女だった。

「なにか用かい?」

「御飯ですって。今夜はね、実験室でお父様の実験があるから、早く御飯をすませてお手伝いにゆくのですって」

「よし心得た、すぐ行くよ」

「あら! それなあにお兄さま」

「これか、これはね或る重大な外国の軍事探偵の暗号文なんだ。これに、我日本帝国の安危が隠されてあるのさ」

「あら! まあ本当※(感嘆符疑問符、1-8-78)」

「あはは、嘘だよ、学校の友達が僕を困らせようと思って拵えたものなんだ。子供騙しのようなものだよ」

「まあ嫌だ、私びっくりしちゃったわ」

兄弟は仲よく、声をあわせて笑いあった。

「それはそうと、文ちゃん、君は僕の教えた春田式危険信号を覚えたかい?」春田君がいった。

「ええ覚えたわ、やってみましょうか」

文子はそういうと、ポケットから掌へかくれてしまうくらいの小さな懐中電灯を取だして、「・・――・・――」と光らせた。

「こん度は助けてくれをやって見たまえ」