轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
そうせいじ
双生児
江戸川 乱歩
――ある死刑囚が教誨師にうちあけた話――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,029 字 · 24 页
を呉れたりしました。
ある日――それは凡ての点から私の計画に最も都合のよい日でした――私は兄夫妻に見送られて東京駅から下り列車に乗り込みました。そして汽車が山北駅に着くと、下関まで乗り続ける筈の私は、人目につかぬ様に下車して、少し待合した上、上り列車の三等室へまぎれ込んで東京に引返したのです。
山北駅で汽車を待つ間に、私はそこの便所の中で、私の股にある、兄と私とを区別する唯一の目印であった所の黒子を、ナイフの先でえぐり取って了いました。こうして置けば兄と私とは全く同じ人間なのです。兄が丁度私の黒子のある箇所へ傷をするということは、あり得ないことでもないのですからね。
東京駅に着いたのは丁度夜明け頃でした。これも、その時間になる様に予め計画して置いたことなのです。私は出発の前に拵えて置いた、その頃兄が毎日着ていたふだん着の大島と同じ着物を着て、――勿論、下着も帯も下駄も一切兄のと同じものを用意してあったのです――時間を見計らって兄の家へ行きました。そして、誰にも見つからない様に注意しながら、裏の板塀を乗り越して、兄の家の広い庭園に忍込みました。まだ早朝の薄暗い時分でしたので、私は家人に発見される心配もなく、庭の一隅にあった一つの古井戸の側まで行くことが出来ました。