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はんこう

反抗

豊島 与志雄

「国民新聞」1921(大正10)年8月4日~11月25日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 140,121 字 · 282 页

青空文庫

」

「そう。幾歳に見えて?」

「井上の眼には、丁度だってさ。」

「丁度、嬉しいわね。」

「冗談じゃない、桁が違うんだ。」

「え?」

「桁……というんじゃないのかな。一周上というのさ。」

「それじゃ三十というの。」と彼女は微笑の口を尖らしてみせた。「どうせそうなんでしょうよ。お婆さんは引込んでろって謎でしょうよ。」

そして扉をがたりと閉めて出て行った。

それでも、彼女は間もなくやって来た。そしてはまたすぐに出て行った。ちっとも落着いていなかった。他に気兼ねすることでもあるのかと思えるほどだった。それが周平の気分を苛ら苛らさせた。彼女が居ない淋しさに浸ることも出来なければ、彼女が居るぱっとした明るさに和することも出来なかった。蔭と日向とが交代にやってくるようなちぐはぐな気持のうちに、酒がいやに頭へばかり上ってきた。そして足先からぞくぞく冷えてきた。

村田は饒舌り疲れたのか、長椅子の上に身を反らせて、天井の電燈をまじまじと眺めていた。

「もう帰ろうか。」と周平は云った。

「うむ。」

村田はすぐに応じたが、やはり身を動かさなかった。暫くして云った。

「何だか今晩は変につまらない晩だね。